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現在、わが国においても、Amesテストのデータはかなり蓄積されてきた。
労働省に提出された化学物質の数だけでも4,000種を超えている。
このうち約13%のものが陽性であり、そのうちの3%強のものに特に高い変異活性
(被験物質mgあたり誘発変異コロニー数が1,000個以上)が認められている。
新薬あるいは農薬などの開発途上で、各企業内に保存されているデータ、あるいは、
大学などの研究機関で行なわれた試験成績を含めれば、その数は膨大なものとなろう。
しかしながら、Amesテストの結果は同じ化合物であっても、色々な実験条件下で微妙に異なってくる。使用したテスト菌株の性質、プレート法とプレインインキュベーション法の選択、代謝活性化に用いたS9の濃度や組成、被験物質の濃度設定、あるいは、コロニー
の測定法などによって左右される。評価に耐えるデータを得るためには、実験者自らが十分知識と経験をつむことはもとより、
その試験施設におけるバックグラウンドデータを十分蓄積しておく必要があろう。
本データ集は、過去15年間に、国立衛生試験所変異遺伝部第二室(微生物変異研究所)で行なわれた試験結果の一部を生データとして集録したものである。被験物質によって、使用したテスト菌株は必ずしも同じではない。しかしながら、陰性対照及び
陽性対照のばらつき、あるいは、個々の被験物質の濃度選定など、具体例として貴重な資料となろう。
特に、本データ集においては、陰性となった物資についても記載されている。無駄な実験の繰り返しを避けるためである。陽性となった物質についてはμgあたりの変異活性値も記載されている。化学構造と変異活性の相関性につき比較研究するためにも重要な情報となろう。(石館 基)
体 裁 B5判 700頁
発 刊 1991年 2月15日
定 価 本体 35,000円
●監修者・著者
監 修 石館 基 前国立衛生試験所変異遺伝部部長 編 集 能美 健彦 国立衛生試験所変異遺伝部部長 編集協力 国立衛生試験所変異遺伝部